本稿では、心理学本では定番として紹介されているテクニックのうち、筆者の感覚では全く実用できない方法を紹介していくきます。
まずドア・イン・ザ・フェイス・テクニックと呼ばれるもので、恋愛というよりは営業社員向けのテクニックとして紹介されることが多いものです。
手順としては以下のとおりです
①まず相手が受け入れないであろう大きなお願いをする。
②相手は当然拒否
③次に、①よりはハードルの低いお願いをする(こっちが本来のお願い)
④相手は②で一度断っているという後ろめたさがあるうえ、①と比較すると③がイージーな要求に思えるため、承諾してしまう。
これを恋愛に置き換えると(心理学の本でも非常によく紹介されているケース)
①今度の日曜にお台場でデートしない?
②えー、うーん・・・そうねえ、ちょっと予定があって無理かな
③あーそうなんだ・・(落ち込みながら)、それじゃ、明日にでもお昼ご飯一緒に食べない?
④まあ、それくらいなら・・・。
以上のような流れになります。
◯強引で不快な人と思われるだけ。
さて、特に女性からして、上記のような誘い方をしてくる男性をどう思うか?
筆者としては、非常に強引で、失礼なものを感じます。
基本的に、相手の「引け目」に乗じた手法であり、「行きたい」ではなく「行かないと悪いかな」と思わせる誘導方法です。はっきり言って詐欺的なナンパ手法と大差ない。
個人的にも、昔、保険料の高い保険を薦めてきた保険の販売員が、こちらが断ると次から次へとグレードの低い保険商品を薦めてきたことを覚えています。数年経った今でも、よく覚えている不快な体験です。保険の営業というのは本来、数ある条件の中から、本当にその人の状況にあったものを勧めるものです。しかし、一度断っているにも関わらず、こちらが拒否するたび、矢継ぎ早に他の選択肢を提示されるのは、「結局保険さえ売れれば何でもいいんだな」という不信感を植え付けることになります。
デートに誘うのでも同じことで、「デートに行きたい」と言ったそばから、「じゃあ今週ランチに行こう」では、「なんだ、デートでもランチでも何でもいいから口説きたいだけなんじゃん」と思われるだけです。最初のお願いは何だったんだと。
本で紹介されている例で他でもあるのが「10万円貸してくれ」→「嫌だ」→「それじゃせめて1万円」とお願いするという手法。冷静に考えて、「最初の10万円は何の根拠があってお願いしたんだよ」とい思われ、1円たりとも貸したくなくなるでしょう。
更に、この方法には心理学的な欠点もあります。
人間は「連続して同じ回答をしていくと、途中で回答を変えづらい」という法則があります。
例えば、相手からずっと答えが「Yes」になるような質問をされ続け、4~5回目くらいに「それじゃ一緒にデートしようよ」と聞かれると、何となく慣性で「Yes」と答えてしまうというもの。
その法則に従えば、まず「断られる前提のお願い」をすること自体がナンセンス。
その場に「No」の雰囲気を与えてしまいます。一度「No」と言った手前、続くお願いも慣性で「No」と言いやすいのです。
◯使うならせめて「No」のセット。
以上のように、世間で広く紹介されている割には、使い所のない「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」ですが、せめて使うなら「No」という返事を慣性で利用する「No」セットを利用すべきです。
これは、さっきの「Yes」の慣性と逆で
①デート行かない?
②えーちょっと無理(No)
③そっかぁ・・・じゃあ、一緒にお昼とか行くのも無理って感じだよね。
④えー、そんなことないけど(No)
という流れです。
その場の状況を「No」にした後で、「~~するのも嫌だよね?」という聞き方をします。
この方法によれば、まず「~~はダメ?じゃあ~~しよう」という時に比べて強引さがなくなります。
かつ、その場の「No」の雰囲気に乗じた「No」という返事をさせることで、結果的に誘いを受けるような質問をしているのがポイントです。
これでもなお、「うん、お昼も無理」ときたら、もうその時点で相手は自分に微塵の好意もないと考えて、早期に撤退すべきです。
ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックを使うなら、せめて本来のお願いは「~~もダメだよね・・」と聞きましょう。
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